静岡ガス株式会社のSDGs 2020年12月21日OA
マルチエネルギー事業本部 都市エネルギー部長 加藤力弥さん
持続可能な未来づくりに貢献する事業内容をお聞かせください
私たち静岡ガスグループは、富士市が公募した「富士市公共施設温暖化対策事業」プロポーザルに応募し、最優秀提案者に選定いただくことができました。プロポーザルの内容に基づき、本年7月17日に「富士市公共施設温暖化対策事業への協力と連携に関する包括連携協定」を締結いたしました。
包括連携協定における具体的な取組みは、3つあります。
1つめが、『電力の地産地消』です。富士市は、本年10月から新環境クリーンセンターが稼働しています。新環境クリーンセンターでは、ゴミを燃やす際に発生する熱エネルギーを利用して発電しています。この電気を静岡ガス&パワーが預かり、富士市内の公共施設にお届けしています。静岡ガス&パワーは、富士市内に本社と発電所がある静岡ガスのグループ企業で、市内の再生可能エネルギー普及拡大に取組んでいます。
2つめは、公共施設の設備改修を目的とした『小規模ESCO』です。ESCOとは、Energy Service Companyの略です。具体的には、省エネ改修工事による光熱費の削減分、全ての投資および顧客の利益を確保する事業で、省エネ診断・設計・施工・運転・管理・資金調達などを顧客に提供するサービスです。富士市内では、これまでに中央病院をはじめ、3つのESCO事業が実施されました。これまでに実施されたESCO事業はいずれも規模が大きく単体で事業化が可能でしたが、今回公募された施設は、それらと比べると比較的小規模な施設で、施設単体では、事業化が困難ですが、複数施設を同時に実施することにより、事業化が可能になります。対象施設は、現在、富士市と協議しており、来年度以降、順次省エネ改修を実施していく予定です。
3つめは、自由提案として公募された『その他取り組み』です。私たち静岡ガスグループでは、『その他取り組み』で3つの提案をしています。1つめとして、太陽光発電設備やコージェネレーションシステムといった地産電源の普及拡大を推進いたします。2つめに、電気自動車などクリーンエネルギー自動車の普及拡大に取組みます。3つめが特に重要だと考えます。富士市民の方が所有される太陽光発電でFIT期間を満了された余剰電気を買い取らせていただき、市内の公共施設にお届けします。この取り組みには、市民の方からのお申込みが必要です。電気の地産地消を推進するためには、市民の方お一人お一人のご協力が必要です。是非とも、よろしくお願いいたします。
お話いただいた事業内容はSDGsのどの目標に該当するとお考えですか?
静岡ガスグループは、持続可能な社会の実現に向け、SDGsの17目標のうち、9目標を特に重点を置くものとして位置づけ、様々な事業活動を通じて社会課題の解決を図るとともに、SDGsの達成に貢献していきます。
③ すべての人に健康と福祉を
⑤ ジェンダー平等を実現しよう
⑦ エネルギーをみんなに そしてクリーンに
⑧ 働きがいも経済成長も
⑨ 産業と技術革新の基盤をつくろう
⑪ 住み続けられるまちづくりを
⑫ つくる責任 つかう責任
⑬ 気候変動に具体的な対策を
⑰ パートナーシップで目標を達成しよう
今回の「富士市公共施設温暖化対策事業」においても、これらの目標を意識した取組みを行います。
事業開始前に感じていた社会課題についてお聞かせください
富士市周辺には、都市ガスをご利用いただき、電気とお湯や蒸気といった熱を作るコージェネレーションシステムを採用いただいているお客さまが数多くあります。2016年4月の電力自由化以前は、お客さまご自身で使用する分しか発電できない状況でした。しかしながら、電力自由化以降は、コージェネレーションシステムで発電いただいた電気で余った分を弊社が買取らせていただき、地域の皆さまにご利用いただいております。このような電気の地産地消という取組みは、地域経済の活性化という面でも、もっともっと広げていくべきだと感じていました。今回、富士市との取組みも、新環境クリーンセンターで作られた電気を富士市役所や市内の小中学校などで使用するという電力の地産地消につながる取組みとなっています。
新しいパートナーシップの仕組みですね
公共施設で使用する電力料金を削減しつつ、地産地消の電力を活用して、地域経済の活性化につながる取組みは、市民・自治体・事業者が一体となって取組む仕組みは、全国に先駆けた取組みだと自負しています。市民の皆さま、市内事業者の皆さまにご賛同、ご協力いただき、「パートナーシップで目標を達成」できたら素晴らしいと考えます。
事業を進めるにあたり「解決したい課題」があればお聞かせください
事業内容の部分でも触れましたが、市民の方が所有される太陽光発電の余剰電気を市の公共施設にお届けする地産地消モデルを拡大したいと考えております。そのためには、市民の方、お一人お一人のご協力が欠かせません。太陽光発電を所有される市民の皆さまには、私どもに余剰電気を販売いただき、富士市の公共施設に電気をお届けするという取組みにご協力いただきたいです。
事業を通じて、どのような未来を作りたいとお考えでしょうか
現在は、「富士市公共施設温暖化対策事業」として、公共施設のみでの取組みですが、市内事業者の皆さま、市民の皆さまとともに富士市全体の取組みとして、地産地消、温暖化対策を実施していきたいと思います。
(インタビュー 2020年12月21日)