東洋レヂン株式会社のSDGs 2021年1月11日OA

 

技術開発部 井出康太さん

会社のプロフィールをご紹介ください

弊社は主にテルモ株式会社様の下請け企業として、医療部品のプラスチック成形・着色を行っております。下請けの仕事だけでは、今後どうなるか不透明な部分も多いので、10年ほど前より自社ブランド「ソマニクス」を立ち上げメーカーとして製造・販売も行っているというのが主な仕事内容になります。創業は昭和42年(1967年)1月になります。なお、私の祖父が創業した会社で、現社長は私の父です。従業員数は80名になります。

持続可能な未来づくりに貢献する「事業内容」を教えてください

2019年11月に設立された「富士市CNFプラットフォーム」に参加して、「CNFを活用した3Dプリンター用フィラメント開発」を行っています。

SOMANIKSという製品のカートリッジ部分は廃棄してしまう部分であり、使用してくれるお客様から「もったいない」というお声を頂いておりました。破棄していた部分を、再利用した製品作りが出来ないかと考えており、3Dプリンターの材料となるフィラメントの開発を検討し始めました。そんな中で、弊社のような中小企業の場合、いくら良い製品を作っても、お客様にアピール出来る場も予算も限られています。そこで、県や市のような行政含め産学官連携を行いながら製品開発を進められれば、技術提供も受けられるし、地域貢献にもなるのではと考え、富士市が推進しているCNFも活かした製品作りに着手する事にしました。

貴社の活動は、SDGsの目標の中のどれに該当するとお考えでしょうか。

まず12.つくる責任、つかう責任です。つくった物をそのまま破棄しないというのは今後必要になるかと思います。

そして14.海の豊かさを守ろうです。プラスチックの再利用は海洋プラスチック問題とも直結しているかと思います。

ということから、12と14は弊社の活動に該当すると考えております。

「CNFを活用した3Dプリンター用フィラメントの開発」について詳しく教えてください。

現在のようなコロナ禍の中、3Dプリンターが改めて見直されております。人工肺の部品等も3Dプリンターで造形される技術が確立されてきております。また工場クラスターも発生している中、工場に集まらずとも製品の製造が可能になれば、新しい生活様式にもなるのではと考え、3Dプリンターを活かした製品が出来ないかと考えております。

《CNF》について、詳しく教えてください。

CNFには色々な特徴がありますが、弊社が目を付けているのは「チキソトロピー性」という特徴です。チキソトロピー性の例として三菱さんがCNFを活用したボールペンを出しておりますが、この特徴として、「“速書きでもかすれない、なめらかな書き味”」というのがあります。

「CNF」と「プラスチック」を組み合わせると、どのような素材感になりますか。

上記のボールペンの使用例を参考に、CNFとプラスチックを組み合わせて「かすれない」ことを目標にしました。3Dプリンターで造形する際は、下から1層ずつ積み重ねて立体化していくのですが、その造形時に「かすれない」で造形出来るというのは、キレイに造形する上で重要なポイントとなります。このようにプラスチックにCNFが組み合わさると、「チキソトロピー性を活かして、かすれないで、なめらかに造形出来る」という利点が生まれます。

「CNFを活用した3Dプリンター用フィラメント」開発参入のきっかけについてお聞かせください。

2016年ごろ、CNFを推進している静岡県のCNFコーディネーターの方から、東洋レヂンの技術でCNFとプラスチックを混錬できないかという相談がありました。弊社は、半世紀以上のプラスチック混錬ノウハウがありますので、それを活用しCNFとプラスチックの混錬に成功しました。静岡県との共同特許も取得しております。ただ混錬したものを販売というのは難しいので、破棄しているカートリッヂ部分の再利用とCNFを活用した3Dプリンター用フィラメントという製品の形で販売することにしました。

どのように進めてこられましたか。

2016年頃よりプロジェクトを開始しております。

2017年には「ものづくり補助金」というものを活用し自社でも実験できるように機械を購入しました。

2018年には「富士市CNFチャレンジ補助金」を活用し、巻取り機を作成しました。

2019年には富士市主体でCNFプラットフォームが立ち上がりましたので、

初期段階から参画し横の連携を深め、当フィラメントを使用してくれるユーザー様や樹脂の分析等の依頼会社様とも繋がることが出来ました。自社の技術だけではなく、静岡県や富士市といった行政だけでなく、静岡大学様とも産学官連携し、ここまで来ることが出来ました。

お客様の反応はいかがでしょうか。

3Dプリンターを所有していたり、使用したりしている企業様からは「面白いね」とお声がけ頂き、サンプルを使ってみたいという企業様も何社かありました。しかし3Dプリンター自体の普及率がそれほど高くないのが現状ですので、その辺りは今後の課題になります。

どんな形で私たちの手元に届きそうですか。

現在は10万円以下の安い3Dプリンターも普及してきておりますので、工業ベースではなく、各家庭に拡がるといいなと考えております。家庭用クッキーの型や100円ショップで売っているようなお皿などのプラスチック製品であれば、自身で3Dプリンター造形が可能になります。その材料部分が、CNFを活用し、かつ廃材を再利用する地球にやさしい当フィラメントになりますので、ご使用頂ければと考えております。

事業を通じ、どのような未来を作りたいとお考えでしょうか。

経済産業省により2020年「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定いただきました。少し大きな夢になりますが、日本が抱える社会問題の解決になればと考えております。

一つ目は、少子・高齢化社会の中で進む労働人口減少問題です。子育て中の方や高齢者の方でも製造が可能であるため、家庭にいながら賃金を得られます。

二つ目は、環境問題です。再生可能な資源を利用することで持続可能な開発目標を達成可能になります。

三つめは、コロナ対策です。工場に集まる必要がなくクラスターの発生も防げます。

富士市が先導して、このモデル都市になれば「子育てしやすい街」「働きやすい街」として知名度も上がるのではと考えております。

(インタビュー 2021年1月11日)

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