㈱イーシーセンターのSDGs 2021年8月2日OA
株式会社イーシーセンター 代表取締役社長 海野幸男さん
会社のプロフィールをお願いします。
社名の由来は、Eがエンバラメント(環境)、Cがクリーン(清潔)、センターは中心という意味で「環境をきれいにする中心でありたい」という思いが込められています。創業42年目で、建物解体工事と、そこから発生する産業廃棄物のリサイクルを生業としています。
具体的にどのようなことをなさっているのでしょうか。
解体工事から排出される廃棄物のリサイクルをしています。リサイクルといってもいくつかありまして、モノからモノへとリサイクルするマテリアルリサイクルと、物を熱に変えてリサイクルするサーマルリサイクルといった二種類のリサイクルを行っております。特に我々が力を入れているのはマテリアルリサイクルで、廃棄物の選別を徹底的に行って品目ごとにリサイクルしています。
SDGsの目標の中は17個ほどありますが、事業はこの中でどれに該当するとお考えでしょうか。
特に関係するのは⑫つくる責任つかう責任ですね。リサイクルのマークなので我々の責任かなという風に思っています。それ以外にも⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに、⑪住み続けられるまちづくりを、⑬気候変動に具体的な対策を、⑭海の豊かさを守ろう、⑮緑の豊かさも守ろう、⑰パートナーシップで目標を達成しよう、が該当すると思っています。
持続可能な未来づくりに貢献する事業についてお聞かせください。
廃棄物の多くは建物解体されたものから排出されるのではないかと考えています。イーシーセンターは環境負荷やCO2も少なく済むように、地元の建物や家などを解体したものを地域でリサイクルし天然資源の代わりにしています。
SDGsでも課題とされているように天然資源を海外から発掘して、重機を使用しCO2を大量に排出し、船を使用して運び、日本に入ってからまた車で天然資源を運ぶという事になると、かなりの環境負荷が掛かります。一方、少子高齢化に伴い、空き家問題なども現実味を帯び、建物を作るピークは過ぎ、こと建物解体においては2050年ぐらいがピークになるとも言われています。建物解体とリサイクルという中で、サイクルを回していくことが出来れば、地域の役に立ったり、必要とされたりするのではないかと思っています。
例えば何がどんな素材に生まれ変わっているのでしょうか。
建物を解体する際によく出るのが、コンクリートの瓦礫です。コンクリートの瓦礫については、破砕をして4センチほどの大きさにしてから、道路の下に敷かれるような砕石をつくっています。
瓦のリサイクルもやっていますが、昔からの日本人の知恵で、瓦は家の中が熱くならないように陶磁器で出来ています。保水性もあり水が蓄えられるので、より地球温暖化防止に一役買っている素材と言えます。その特性を活かし、瓦を細かいチップにして道路に敷くことで熱くならない道路をつくることが出来ます。当社は瓦のチップのリサイクルを、全国的に提携している会社と組んで富士市でも展開をしております。
他にもリサイクルされているものはありますか
富士市はご存知の通り紙の街ですから、紙から紙へのリサイクルもしており、他にはプラスチックからプラスチック、金属くずから金属くずなど、リサイクルの優等生と言われているような素材についても徹底的に「選別」をしてリサイクルに回しています。
それでも廃プラスチックや紙や木などが混ざった複合素材などはたくさんあって、当社はこれらを使ってRPFという固形燃料をつくっています。RPFは石炭と同等のカロリーを持っており、値段も石炭と比べると格安ということで、富士市の主要産業の一つである製紙会社さんのボイラーで多く使われるようになってきました。
他にも社会貢献活動として様々なことに取り組まれていると伺っています。
当社はゴミを扱っているので一般的には迷惑施設です。そして、この事業は富士市の地域の皆さんから、ご理解を得て初めてできる仕事ですので、地域貢献は欠かせないと考えています。
まず、ごみゼロ清掃運動を5月30日に工場の周りで行っています。
また10年ほど前から毎年一回富士市大野町などの三自治会の方々にビスコの保存缶や栄養缶やちょっとしたベッドなど防災用品の寄贈させていただいています。
他にも7年ほど前から当社で田植え機やコンバインや耕運機を購入し社員が農業にチャレンジをしておりまして、お米作りを浮島で行っています。
三年前からきくらげもはじめましたが、順調というわけにもいかずまだまだ試行錯誤をしています。
その他に、キャリア教育や職業講話などをしたり、ドローンを新事業として立ち上げるなかで子供達にドローンの体験をしてもらうこともしています。子供達が大人になった時には、僕らの知らない世界が広がっていて、ドローンが当たり前に操縦できるとか、ドローンが普通に空に飛んでいるような世界になっているという事はあると考えており、それを今から体験した方がいいのかなという風に思っています。
今後の展望をお願いいたします
当社のスローガンは「子供たちに残したい未来がある」というものです。未来の子どもたちが僕たちに宿題を与えてくれてていて、今やらないと多分とんでもないことになるよと言っているのではないかと思います。その宿題が多分SDGsという形で設定されてるのかなと思ってます。その中で次の展開なのですが、ゴミの焼却施設を建設中です。社会問題になっている廃プラスチック問題がありますね。海に広がったマイクロプラスチックを僕たち一人が一週間にカード1枚分食べているというようなデータも出てるくらい環境問題として考えなければならないと思います。焼却施設で発電をしながら、燃え殻や灰まで、リサイクルにもっていけたらと考えています。
(インタビュー 2021年8月2日)