東伸紙工㈱・東和㈱のSDGs 2021年9月27日OA

      

東伸紙工株式会社・東和株式会社 代表取締役社長 久保田基之さん

会社のプロフィールをご紹介ください

昭和39年(1964年)12月に、カーボン紙専業メーカとして私の父が創業しました。この年の1月には私が生まれて、10月には東京オリンピック開催・東海道新幹線が開通しました。

以降コンピュータの普及と共にコンピュータのプリンター出力用紙の需要が高まり、昭和50年代以降は、その軸足をプリンター出力用紙の印刷加工に移しました。この時特に、金融機関でオンライン化が進んで、プログラム設計のためのコンピュータ用紙並びに金融機関の店頭で使用される印刷物の需要が急拡大しました。もちろん、あらゆる業界にも浸透していきました。この頃はコンピュータの普及=用紙の需要増の時代でありました。

そして、平成中頃からスマホ・タブレットが普及して、ペーパレス化が進行していて、コンピュータ用紙に限らず紙全体でペーパレス化が進んで、漫画を紙で読まない、新聞を紙で購読しない、チラシも減る、 郵便・faxがメールに変わりました。時代の変化とともに、もともとやってきたオフセット印刷物に個人情報やQRコード等可変データをプリントした上で、それらの用紙をはがき・封筒・申込書等に加工し発送を行うといった業務に着手していきました。これらに必要な、フルカラー印刷機、産業用インクジェットプリンター、加工機はすべて内製化し企画・製造・発送の一環メーカとして現在に至っております。このときに培った加工技術が、今回の「紙ファイル」の製造に大きく貢献しているんです。

持続可能な未来づくりに貢献する「取り組み」を教えてください。

SDGs達成に向けて、環境問題に対する配慮が必要となっております。環境省では「石油由来プラスティック代替品開発・利用促進」を戦略として掲げております。その代替え品の開発品として紙製ファイルに注目し、現在紙製ファイルを製造しております。

SDGsの17の目標のうち、貴社の取り組みはどれに該当するとお考えでしょうか。   

12「作る責任使う責任」 脱プラスティック製品の作成、ユーザへの普及啓蒙により使う責任

13「気候変動に具体的対策を」 脱プラスティックによるCO2削減

14「海の豊かさを守ろう」 プラスティックゴミの削減

15「陸の豊かさを守ろう」 製紙メーカの計画的植林によるCO2削減・森林の維持

「紙製ファイル」を自社製造しているとのことですが開発のきっかけは。

当社は製造業ですからすべてを社内で一貫生産できるということを大前提に検討してきました。私は「日経ビジネス」を定期購読しているのですが、2021年4月12日号で、日本生命が「持続可能な地球環境の実現に向けて企業活動のあらゆる分野で環境問題に取り組む」というテーマで2ページにわたる広告記事を掲載しておりました。その中に、「ニッセイPlastics Smart運動を展開し、エコバッグ・マイボトルの推進、クリアファイルなど社内プラスティック製品のエコ素材化を通じてプラ使用量削減を目指す」という記事があったんですね。この記事からヒントを得て、「脱プラスティック、紙製ファイル」を開発し社内一貫生産にて製造販売することにしました。

開発はいつから始まり、どのように進めてこられましたか。

「日経ビジネスの日本生命」の記事がきっかけなので、本年の4月からの開発となります。プラスッティクのクリアファイルは、1枚のプラスティックを印刷→型抜き→2折りにして短い1片を熱蒸着させて接着するという作成方法です。弊社の場合は、考え方としては2枚複写の伝票が原点にあるので、1枚目の紙と2枚目の紙にそれぞれ印刷をしてから、その2枚を重ね合わせながら長辺1片と単片1片を糊付けするという作成方法です。とはいってもこの糊付け方法はかなり特殊で過去に経験がありませんでしたので、まずはここが第一関門でした。その次に、プラスティック製クリアファイルからの代替えをアピールするのには「見た目」が同じでなければなりません。右上部端の半円状の切り込みをどーやって加工するか?右上端角が丸くなっていますがこれもどーしようか等々、当初加工方法に苦慮しました。しかしながら、全く新しいものを無から作り上げてゆくということは滅多にあることではないので、それらの問題を解決して、実際に製品化されたときの喜びは言い尽くせないものがあります。かなりの急ピッチで開発・製造を行いGW明け位からサンプルを作成し企業様への案内をはじめました。今日に至るまでその活動を行っておりますが、「WANTSはあるがNEDDSがそこまでない」というのが現状です。すなわち、「これ、すごく良いね!時代に合っているね~」という「欲しい(WANTS)」はあるのですが、それをすぐ採用するという「必要性(NEEDS)」がもー一息といったところです。あと、技術的なこととしては必ず「中身が透けて見えるものはないの?」という要望があります。これについては、Radio―fさんのサンプルをお作りしたように、製品としては開発済みです。今、市内の製紙会社様とのコラボで、この透明な紙の調達について種々検討しております。それは、用紙コスト・製紙会社における製造ロット等々であります。これにつきましては遠くない時期にリリースできればと考えております。いずれにせよ、売れなければ作れません。今後は透明な用紙の商品化等技術面のスキルアップと同時に、いかに「普及させてゆくか」=「営業戦略」に力点を置いて活動をしていきたいと考えております。

使用された方からは、どのような声が聞かれますか。

実は真っ先にご採用いただいたのは、弊社が印刷物でお世話になっております「コアレックス信栄」さんなんです。黒崎社長はこの番組にも出演さてますね。信栄製紙さんは官公庁はじめ大手企業さんから機密文書を預かってそれを廃棄処分することによって製紙原料として利用されております。この作業過程においては高度なセキュリティが伴っておりますので、段ボール箱に入っている機密文書は開封されずそのまま処理の機械にかけられます。一般的には故紙屋さんが分別して製紙会社に持ち込むのですがこの場合「分別」ができません。結果的には段ボール箱の中にはクリアファイル等が混入されており製造工程に支障をきたすことがあるとのことです。この問題を解決するために、信栄製紙さんは紙ファイル普及にご尽力をいただいております。

また、大手生保さんからの相談事として、保険商品のパンフレット・申込書・チラシ等をポリ袋に入れてキット化して倉庫に在庫して、必要に応じて出荷している。保険商品の改定や廃版等色々な事情でそれらのキットが使用できなくなり破棄することが多々ある。その時膨大の量のキットをポリ袋と紙に仕分け・分別するのに膨大な労力とコストがかかるので、それを紙にできないかという依頼があります。

CO2削減→脱プラスティックの観点のみではなく、プラスティックと紙の分別にかかる労力・コスト削減並びに故紙としての資源の循環利用という観点からも注目される製品だと思います。

興味がある人はどのようにしたらよいでしょうか。

私が社長自ら対応いたします。興味のあるかたはメールにてお問い合わせください。メールは、m-kubota@insatsu119.comです。静岡県内の方は販売会社の「東和株式会社」が窓口となります。

この製品を通じて、どのような未来を作りたいとお考えでしょうか。

富士市は「紙の街です」。紙はデジタル化により減少傾向にあります。しかしながら、「脱プラスティック」の波はこれから益々大きなうねりとなります。「プラスティック代替え製品」の筆頭は「紙」です。「紙の街富士市から全国に向けて、脱プラスティックの紙製品を通じてSDGsを発信してゆきたい。」これが未来への展望です。

(インタビュー 2021年9月27日)

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