ふじ虹の会のSDGs 2020年11月23日OA

会長 坂間多加志さん    

「ふじ虹の会」はどのような団体でしょうか

平成22年に富士市・富士宮市を管轄する富士児童相談所ができました。一般的に児童相談所管内の里親の把握と支援のため児童相談所ごとに里親会を設置しています。それで富士地区も同様に里親会を立ち上げることになりました。とはいえ、平成22年にすぐに立ち上げたわけではなく、会員やこども、地域にとって良い活動をしたいという思いから、1年は準備委員会を立ち上げて里親へのアンケートや検討会議を行い、平成23年度4月に発足させました。支援機関や行政機関と協力して里親に関する発信をしたり交流行事を行ったりするほか、県などに里親の声を届けるような活動をしています。現在の会員は34世帯です。

持続可能な未来づくりに貢献する「実践例」を教えてください

里親は、親御さんが一時的に、あるいは長期的にこどもを家庭で育てることができなくなったときにお子さんを里親の家庭で預かり、育てるというものです。社会の責任で子育てをする「社会的養護」といいます。

里親会では里親同士の交流や研修、社会的養護の実際を発信する活動をしています。例えば、「フォスターセッション」というフォーラムイベントを市民団体と共同して開催することによって、市民の皆様に社会的養護下にいるこどもの実際を伝えることで、地域でこどもや子育て世代を支えることできる地域社会づくりを行っていると思います。

活動はSDGsの目標の中のどれに該当するとお考えでしょうか

3 すべての人に健康と福祉を

4 質の高い教育をみんなに

5 ジェンダー平等を実現しよう

8 働きがいも経済成長も

10 人や国の不平等をなくそう

11 住み続けられるまちづくりを

16 平和と公平をすべての人に

です。

発足から10年目となるとのことですが、当時感じていた社会課題についてお聞かせください

家庭で暮らせないこどもや そうなりそうなこどもは実は思ったより身近にいます。しかし、それはあまり知られていませんし、多くの人たちはどこか遠くの話だと思っています。つまり、課題は「知らないこと」です。

家庭で暮らせないこどもや他人にこどもを託さざるを得なくなったおとなが抱える課題は、病気や障害、貧困や労働問題、近隣問題、世代間の問題などがあり、これらは実は社会的な問題です。これらが地域に知らされず、対策も講じられない。それが社会問題だと感じていました。

どのように活動を進めたのですか

まず児童相談所や児童福祉施設との専門職との関係を強化しました。そして次は市民活動団体や個人と一緒にフォーラムや研修会を開催しました。協働した人や話を聴いてくれた人は、「これはすべての人に関係する話かもしれない」と気づいてもらえたと思います。

数年前、ようやく「里親になりませんか」という啓発をはじめました。それは単に「里親になってください」ということではなく、小学校区単位で里親がいると地域のこども・子育て支援にとって良い環境ができるという考えを持って啓発をしています。この啓発は、現在児童家庭支援センターパラソルが行っています。

校区里親の先に見ているのは、地域のまちづくりや高齢者福祉などの包括ケアシステムに「社会的養育」も一緒に進められることをめざしたソーシャルインクルージョンです。まだ道半ばです。

里親について詳しく教えてください

養育里親、専門里親、親族里親、養子縁組里親です。

養育里親は家庭で暮らせないこどもを家庭にあずかる里親です。

専門里親は、障害や病気などで専門的知識等をもって養育するのが必要なこどもをあずかります。

親族里親は、親族が里親認定を受けるもので、親族のこどものみをあずかります。

最後に養子縁組里親ですが、養子縁組を希望する夫婦が里親認定を受けて養子縁組するこどもを受け入れます。ただし、養子縁組は家庭裁判所の決定ですから、里親認定を受ける必要はありません。児童相談所の専門機関の相談支援や児童福祉施設にいるこどもを縁組したりすること、また他人の子を受け入れるための勉強をすることを考えると養子縁組を希望する人が里親認定を受けるメリットはあると思います。

サポート体制ですが、ふじ虹の会に入会していれば里親の種類に関係なく会によるサポートがありますし、そうでなくても児童家庭支援センターパラソルがサポートしてくれます。

現在、里親をされている世帯数を教えてください

里親登録している世帯は74世帯。会に入っている世帯は34世帯。里親が預かっている数は「里親委託率」として計算されますが、富士地区の里親委託率は実は静岡県内で最下位に近いです。ちなみにお隣の静岡市は全国1位2位になるほどの里親委託率ですから、かなり差をつけられています。

里親をされている方からはどのような声が聞かれますか

里親さんは高齢になってから幼いこどもを短期間ですが預かりました。そのとき、「とにかく愛しい」と顔をほころばせながらよくお話をしていました。そのときのこどもは親族の家庭に引き取られましたが、とても寂しそうでした。少しでも一緒に生活をし、ご飯を食べさせたりお風呂に入れたり、夜は無垢な寝顔を見ていると、血はつながっていなくてもたいへん愛しい存在になっていくものです。

こどもが慣れてきたころに行動のむずかしさが出ることもあります。また、病気や障害によるむずかしさもあります。ときには、法律上のしばりから、本当の親ではない里親ではできないことがあります。それでこどもが望む人生を送らせてあげることができないときがあり、そのときの心苦しい思いはたまらなくつらいものがあります。

地域のこどもたちや親へのメッセージはありますか

私自身、こどもたちや親に対するメッセージというものはあまり考えたことがありません。ただ、声の掛けやすい人に話をしたり地域活動に参加したりしてほしいという思いはあります。人との関係を絶やさないでほしいです。また、福祉の相談窓口は本当に困ったときに行くところと思われがちですが、そんなことはありません。市役所や児童相談所、児童家庭支援センター、近隣の里親、近所の児童養護施設、子育て支援団体の人などに相談してほしいと思います。

「里親」について情報を得られる機会はありますか

11月27日金曜日18時30分から富士北まちづくりセンターで「里親シアター」というイベントを企画しています。里親に関する映画を見て、里親制度や里親家庭の子育て・こどもの育ちについて理解を深めようというものです。今回は海外の映画を用意しています。コメディタッチで見やすい映画です。どなたでも入場できます。申し込み・問い合わせは児童家庭支援センターパラソルにお願いします。

事業を通じどのような未来を作りたいとお考えでしょうか

まずは未来の前に、今をしっかり生きられる社会を保障したいと思います。こどもは未来を生きるのではなく、私たちと一緒に今を生きています。この考えを大事にしています。

そのうえで、困ったときには身近な地域や雇用の場でこどもや子育て世代を応援できる里親や里親ではない理解者を増やすこと。そうしていくうちに子育て中の大人を取り巻く社会の課題が解消され、いずれは里親や施設がいらない社会をつくりたいと考えています。

また、社会的養護下にいることや経験したことなどをマイナスにとらえ、隠したいと思うことがないようにしたいと思っています。安全に安心して生きるために保護されたこどもたちは、何か悪いことをしているわけではありません。何も悪いことをしていないのですから、コソコソする必要がないはずです。自分に責任のないことで苦しまなくてもよい社会こそ社会の成熟だと信じ、そういう未来を期待しています。

(インタビュー 2020年11月23日)

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